待ち合わせはハチ公前

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「ねえ、待ち合わせどうする?」
「やっぱ渋谷でしょ。ハチ公前」

 二〇十九年。地球。日本。
 銀河を漂う孤独な生命体キトは偶然、東京ジェイケイの会話を傍受した。
 待ち合わせ。事前に決めた場所で誰かを待つ事。
 ぼっちに待ち合わせ相手なんていない。でも誰かに会いたい。
 キトはふとその気になり、渋谷へと舵を切った。

「ここがハチコウマエ?」
 三〇十九年。千年分の距離を超え、キトははるばる渋谷に降り立った。
 行き交う大量の足。キトを気に留める者はいない。ジェイケイもいない。
 所在なく周囲を見回していたキトは、同様に佇む生命体に気がついた。
「こんにちは」
「こんにちは」
 目が合った瞬間ふたりは仲良くなれると確信した。
「私キト」
「ジフよ」
 ジフは別の銀河を漂う生命体だった。ふたりのぼっちは手を取り合い、偶然を喜んだ。
「会えてよかった」
「本当。やっぱ待ち合わせはハチ公前ね」
SF
公開:19/10/22 19:08
更新:19/10/22 19:22

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