季節の変わり目に気をつけて

　節目のある生活を送りたい。よい心がけだと思う。相談者がスライムでなければ。
「節目の大家である唐傘小僧殿なら、ご助力いただけるかと」スライムは手土産のようかんを差し出す。確かに竹骨で節だらけの体だけど、節目に詳しい訳では。
「柔軟なライフスタイルも素敵ですよ」褒めてみたが「ハッキリした容姿、古いものを捨て成長する生き様」に憧れるとのこと。サソリにでも会ったのだろうか。あれは脱皮だが。
「とりあえず、青竹の中に入って見ます？　節目のある生活のお試しに」骨の交換用に取っておいた青竹に、穴を開けて渡す。
「おお、体に節目がある！　メリハリがでる！」
　青竹に潜りこみ竹のゴーレムの様になったスライムは、喜んで帰っていった。
「季節の変わり目にはお気をつけて」
　私の声は届いていなかった。

　季節の変わり目、急に冷え込んだ日から数日。和菓子屋の店頭に、節で切られた竹筒水ようかんが並んでいた。