255. 少年の願い、少女の夢

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放課後、彼女はひとりきりでこの街に来る。
学校は嫌いじゃないし、ランチを一緒に食べる仲間もいる。だけど友達の話には、彼女が本当に好きなものは出てこない。

彼の成績は良い方だ。テストではいつも時間が余るので、つい裏側に好きな人を描いてしまう。先生は困惑しつつ、その絵を褒める。
「おまえはこの時代のアイドルをよく知ってるなぁ。ご両親が聴いてたのか?」
彼は静かに頭を振る。

『主任、今月の80年代アイドルの特集コーナーのポップ、あの子に任せてもいいですか?』
『あぁ、あの男の子ね。絵が上手いしいいんじゃない?』SHIBUYA TSUTAYAの売り場責任者は快諾した。

こうして出来上がった力作のポップをTwitterで知った彼女は、初日から毎日のようにそれを眺め試聴しにきていた。

7日目、遂に声をかけた。「そのポップ実は僕が描いたんです…」
照れながら話す少年と少女は、初めて目を合わせた。
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公開:19/10/22 08:00
更新:21/03/14 01:19

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

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