ハンカチ

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私はじゅうたんを自在に転がすコロコロの時間が好きだ。
コロコロコロコロベッドルーム。
知らない誰かのパンツがコロコロにからまった。オンナものだ。こんな小さなパンツを私や義母がはくはずがない。
私は夫と地面がめくれるほどの深い話しあいと、殴りあいをした。
私だけに殴る権利があると思っていたけれど、聞けば私にも原因の一端があるかも知れないと思い、一度のビンタは許容した。二度目はきっとコロコロコロコロコロスだろう。
夫は家を出ていき、知らない誰かのパンツだけが残った。小さすぎるパンツ。私は不意にバチカン市国を思った。こんな面積では農業はできないだろう。そんな狭い場所で何をしているの?どうしてみんなその場所に憧れるの?私にはわからない。
コロコロコロコロベッドルーム。
私は知らない誰かのパンツを自分にあてて、姿見で見た。
義母がかなしい顔でこちらを見ている。
頬をつたう涙。
私は拭う布を間違えた。
公開:19/10/23 12:49

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