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そこは失踪した"渋谷の歌姫”が、過去に働いていた店だった。
「同じ渋谷でも他の店とは違うだろ?ワシはそういうの分からんから。これがその廃盤になったCDだろ」
高い…しかもC/W無しだ。希少品だからか。
「レコードのもあるよ」
え、アナログ盤も出てたっけ?
「彼女はもう疲れてたからな、またレコードに囲まれた生活に戻りたかったんだよ。でも君なら……いや、これは貰ってくれ」
訳のわからないプレゼントだった。でも疑う気も起きない程疲れていた僕は、そのまま店主からレコードを受け取り家に帰った。

針を落とし目を閉じると同時に曲が流れ、彼女が僕の前に現れた。
「ああ……ずっと貴女の声に惹かれていたんだ」
彼女は僕に身を委ねる。そして僕は彼女を抱きしめ……

うん、今も妻に会えるのは曲を聴いてる時だけさ。でも最近嬉しい事があってね、A面曲だけだったのが裏返すと……。
ほら聴こえるだろ?母親譲りの歌声が。
ファンタジー
公開:19/10/22 23:05
更新:19/10/23 18:01
渋谷 タイトルは 最初の渋谷で 最初に買ったアルバムの 最初の曲

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