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惚けるように揺らめく影を追いかけて、いつの間にか、僕は雑踏の中に迷い込んでいた。
足早に過ぎ行く人達は残像に取り残される・・・

この上ほどない愛情は、迸っていた青春に嫌気が差し、曖昧な感情に揺さぶられ、時を眺める者達と同じように静観する。

偶像を崇拝する聖者は、幻をいつまでも信じ、その身が朽ち果てた時に、幸せを演じ、後世に一部始終を豊かに伝えている。

街は、僕の欠落を埋めてくれるかのように騒がしい。

鈍った感覚は遠ざかっていく大切な者達の後姿を眺めても、無感情で、当然の習わしであると勝手な解釈をし、身勝手な僕はただ呆然と立ちすくむ。

聖者の行進は終盤を迎え、陛下に敬意を示した。
僕も彼らと同じように、忠実な国司として、賛同した。
明日もまた、時は輪廻する。
その他
公開:19/10/20 19:58

神代博志( グスク )









 

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