雨のペデストリアンデッキ

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眞つ直ぐ南北に伸びた、白い鋪裝材のペデストリアンデッキ。僕は自轉車を押しながら步いてゐる。その後ろに重い鞄を括り付けながら。

曇りがちの天氣はやがて雨となり、銀色の屋根を鈍く染めていつた。幾つもの階段が西へ西へと降りてゐる。下では道路が東西に何本も伸びてゐるやうだ。
僕は、何處へ向かふところなのだらう。確か、ずつと向こうにある空港へ、誰かを出迎へに行く筈だつた。

鞄が時折、自轉車から滑り落ちる。何が入つてゐるのか分からない。よく見ると、これは後ろに荷臺のない自轉車…。
途中、すれ違つた老女が何も言はずに赤ん坊を託して、ゐなくなつた。片腕にその子を抱き、僕は更に進む。

屋根の水滴は、傾斜に沿つて流れ落ちる透き通つたマクロファージ。雨粒や煤汚れを次々と呑み込んでは消える。
彼方にある北の雲閒から、幾百もの心臟と腦と魂を抱へた黑い機體が音もなく旅立つ。赤ん坊がいま初めて、まなこを開けた…。
その他
公開:19/10/21 14:35
更新:19/12/08 10:21
夢日記 飛行機

白ねこのため息( あちらこちらにいます )

2019年9月14日から参加いたしました。
しみじみとした後味や不思議な余韻が残る作品を目指しています。
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ちなみに、写真は一部を除き、全て自分で撮影したものです。併せてお楽しみ下さい。

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現在、資格取得(英検1級など)の勉強中のため、投稿ペースが落ちていますが、
これからも引き続きご愛顧のほど、何とぞ宜しくお願いいたします。ペコリ。
 

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