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「ここはどこ?」
渡り鳥のあなたは羽根を休める水面が見つからなくて、上空から森を歩く私に声をかけてきた。
「ここは渋谷。宮益坂」
私が答えると、あなたは不思議そうにくちばしを尖らせた。
「渋谷なら知ってるけど…」
今は熱帯雨林の東京。再開発を終えた頃から渋谷は緑に覆われて、宮益坂にはガジュマルが、道玄坂にはパパイヤが実る密林になった。雨季の名残りの渋谷の森で、原色の鳥や花がうたっている。
「ここがヒカリエ。坂を下りるとQFRONT。フクラスやストリームもほら」
ホーホー、キェッキェッ。
あなたのうたに、私はしびれた。
「キミの肩に降りたい」
不意の誘いに私は驚いた。
「怖いよ」
怖いのは恋だ。そう口にしそうになって私はためらう。あなたのうたは素敵だけど、少し危険な香りがするから。
「僕を見て」
あなたは木漏れ日のように舞い降りて、私の目に着水した。
渋谷の森が、世界が、あなた越しに綺麗。
公開:19/10/21 11:46
更新:19/11/17 18:34

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