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八月五日。今日は年に一度のお告げの日。ハチ公、いや、ハチ様の後ろに神主と百人程の関係者が整列していた。昨年から渋谷再開発事業に携わるようになり、儀式に初参加の私は最後尾からその光景を他人事のように眺めていた。
ハチ様は元は澁谷八郎という人間で、渋谷の開発責任者だった。ある時、ふとしたきっかけで犬になってしまったのだが、その後も渋谷の発展に尽力したことから、その偉業が讃えられ銅像となった。巷に伝わるハチ公の物語が、生前の澁谷のホラ話だということは、渋谷区民なら誰もが知るところ。澁谷改めハチ様は銅像となった今も、開発の神として我々に道を示して下さるのだ。
神主が深々とお辞儀をし、全員がそれに倣う。その時、ハチ様の尻から黒い塊が零れ落ちた。それを白木の皿で受け止めた神主が祝詞を唱えた。
関係者達の喜びの表情。
フン託、いや神託が下ったのだ。
渋谷にハチ様がいる限り、この街は新しく変わり続ける。
ハチ様は元は澁谷八郎という人間で、渋谷の開発責任者だった。ある時、ふとしたきっかけで犬になってしまったのだが、その後も渋谷の発展に尽力したことから、その偉業が讃えられ銅像となった。巷に伝わるハチ公の物語が、生前の澁谷のホラ話だということは、渋谷区民なら誰もが知るところ。澁谷改めハチ様は銅像となった今も、開発の神として我々に道を示して下さるのだ。
神主が深々とお辞儀をし、全員がそれに倣う。その時、ハチ様の尻から黒い塊が零れ落ちた。それを白木の皿で受け止めた神主が祝詞を唱えた。
関係者達の喜びの表情。
フン託、いや神託が下ったのだ。
渋谷にハチ様がいる限り、この街は新しく変わり続ける。
ファンタジー
公開:19/10/19 12:15
更新:19/10/19 19:35
更新:19/10/19 19:35
月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。
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