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ある女が妊娠してから丸1年が過ぎた。
医者は過産期をとうの昔にすぎている、命の危険があると心配したが、女は「自然にまかせます」と言ってきかない。
月日が経つごとにお腹は風船のように膨らみ、やがて月面を歩くような浮遊感を覚えるようになっていた。
妊娠して7年後、女は目覚めると空を飛んでいた。地上からは気球に見えた。
大気圏を越え、宇宙にたどり着くころにはお腹は小惑星ほどに成長していた。
あれから何年の歳月が流れただろう。
いつしか雲が現れ、雨が降り、へそのあたりに湖ができた。乳房は山脈となり、
体毛は草木へと変わっていた。胎動は火山の噴火を思わせる。
やがて生命が生まれはじめた。小鳥は喜びをさえずり、熟した林檎が木から落ちた瞬間、その時は訪れた。
深い暗闇から、成人した男と女があらわれた。
「我々は二度と同じ過ちを犯してはならない」
「そうね」と言って女は林檎を手に取った。
医者は過産期をとうの昔にすぎている、命の危険があると心配したが、女は「自然にまかせます」と言ってきかない。
月日が経つごとにお腹は風船のように膨らみ、やがて月面を歩くような浮遊感を覚えるようになっていた。
妊娠して7年後、女は目覚めると空を飛んでいた。地上からは気球に見えた。
大気圏を越え、宇宙にたどり着くころにはお腹は小惑星ほどに成長していた。
あれから何年の歳月が流れただろう。
いつしか雲が現れ、雨が降り、へそのあたりに湖ができた。乳房は山脈となり、
体毛は草木へと変わっていた。胎動は火山の噴火を思わせる。
やがて生命が生まれはじめた。小鳥は喜びをさえずり、熟した林檎が木から落ちた瞬間、その時は訪れた。
深い暗闇から、成人した男と女があらわれた。
「我々は二度と同じ過ちを犯してはならない」
「そうね」と言って女は林檎を手に取った。
SF
公開:19/10/19 10:55
更新:19/10/19 10:57
更新:19/10/19 10:57
雰囲気重視。
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