偽造工作

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母のお気に入りの花瓶を割ってしまった。
この間も、うっかり機嫌を損ねたばかりだ、何とかばれずに済ます方法はないものか。頭を悩ませた末、父の3Dマルチプリンターで、複製しようと思い立つ。
運良く今日は、2人で買い物に出ている。早速作業に取り掛かる。
まずは完成品の形状。現物か画像が必要だ。花瓶の化粧箱に、写真付きの説明書があるのでスキャンする。サイズ表記を元に大きさを設定。
次に材料。これは割れた花瓶をそのまま使う。投入口にセットし、ボタンを押す。木端微塵に粉砕される不吉な音は、とりあえず無視。数量を1で製作開始。

――なぜか4個出来た。
いや、なぜも何も、写真が4個組みだった。薄っぺら~い色違いの花瓶が(これも写真のせい)4個。
仕方ないので、現物に最も近い1個を再スキャン。まとめて投入口で砕いたところで、警告音。
『材料の再利用は出来ません』
その後、帰宅した両親にダブル説教された。
SF
公開:19/10/18 23:59

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞

いつも本当にありがとうございます!

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