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都会の喧噪にパトカーのサイレン音が鳴り響く。

赤目をした黒猫は、とこしえの闇をずっと眺めては、何かに気がついたかのように去って行く。

魔女は手に持つ毒林檎に自らかぶりつき、全身に毒がまわった時に、チョコレートのような甘さにとろけだす。

排水溝から顔を出す下界の住人は、いつもの都会の騒がしさを確認し、都会の白波を手招きする。

水面にうつる自身と鬼ごっこをした悪魔は、別人に変わり、世間体をいつまでも気にしている。

銃声が空に打ち上がった時、はらはらと降り出すにわか雨が、無慈悲な闇を貫いて、雁字搦めの愛情を忘却する。

私を飲み干してと言っていた彼女のあばら骨が痩せこけて、いまにも骨が折れそうな残骸に思えて、同情ばかりをしていた噂の主は静寂に競り落とされる。
その他
公開:19/10/18 23:28

神代博志( グスク )









 

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