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「本日も世界は平和です。」
徹底した管理社会。アナウンサーの仕事は、今日も世界はいつも通りであると報告するだけのものへと形骸化していた。
だが今日は違った。

「緊急ニュースが入りました。遂に、世界からアイデアが無くなってしまったようです。」

科学の進歩は全ての社会問題を解決し、人類は《大きなゆりかご》と揶揄される長い停滞期に入った。
労働から解放された人類は、様々な娯楽を作り始めたが、技術革新も事件や事故も起こらない世界では、徐々に新しいアイデアというものは先細りしていった。
ある時、世界政府が発表した「人類のアイデアが枯渇するのは数千、数万年先だ」という発表に、誰もが安心し過去の遺産を貪り続けた。しかし、とうとうこの日が来たのだ。

「これから世界はどうなってしまうのでしょうか。」
アナウンサーが問いかけるその質問に、答えられるほどの想像力を持つものは、もはや誰もいなかった。
SF
公開:19/10/18 19:07
更新:19/10/18 19:19

はつみ

現実世界の2次創作
誰かに教えたくなるような物語を書きたいです

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