渋谷区

突如、渋谷区が東京都からの独立を宣言した。
これに、日本中が仰天した。
しかし、暴動などは起きない。
日本国民は、渋谷区に東京都に戻るよう強く訴える。
だが、渋谷区は戻らない。
そこで、日本国民は第二段階の「遺憾の意を表明する」を発動した。
それでも、渋谷区は戻らない。
ついに、日本国民は最終段階の「最も強い言葉で非難する」を発動した。
これを受けて、渋谷区は東京都に復帰することを宣言した。
これに、日本中が驚いた。
「なぜだ。いったい何を考えていたんだ」
こうした電話が殺到した。
しかし、渋谷区は常に同じ応対をしていた。
「お叱りを受けて、再度検討した結果、これは間違いだと気付けたのです。ですが驚きました。皆様はてっきり、私どもを守るために忠告していたのだと……」
こう言われて、電話をかけた人々は困惑した。
そして、困惑している人が次に発する言葉を、渋谷区の人も困惑しながら待っていた。