『お弁当』　TPS③

それは未来の話。
ＴＰＳ『テレポーテーションシステム』が一般化し、運搬、宅配業から各家庭でさえも自由に物の転送が実現した。
当初は様々な問題があった。
転送弁当による有害物質の風評被害。転送される物体が誤作動で中身が誤転送されたり。
そうした問題をクリアし、今ではシステムの恩恵に人々は感謝していた。
「さあ、今日の弁当は何かな？」
「あ、部長は奥さんの手料理が転送されてきたんすね。できたてでうまそうっすね～」
「君だって、今忙しい時期で外に食べに行く余裕がないけど、温かい味噌汁つきのカツ丼が転送されてきてるじゃないか。しっかり食べて、がんばれよ！」
システムの改善、安定により転送は大変有意義になった。
温かいお弁当が手軽に食べられ、幸福度上昇。
ＴＰＳ万歳！
その見出しを読む開発者の孫は、しかし別の課題を新たに見据えていた。
「人口全体の外出機会の減少、筋肉量の低下、平均体重の増加……か」