抵抗するな!

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俺は目の前の相手に銃口を向ける。
相手はこちらをじっと見つめている。それは覚悟を決めた者の姿であるようにも見える…が、俺は騙されない。相手は俺が引き金を引いた瞬間に動くつもりだ!
相手も命懸けだ。がむしゃらに動いては俺を恐怖に陥れるに決まっている!
だからこそ、俺も銃口を向けたまま動けない…
「抵抗するな!」
相手にそう言ってどれ程の時間が流れただろう…
緊張感が高まる中、ついにその時は訪れた!

スパーンッ!

妻がスリッパ片手に相手を仕留めていた。
「何事かと思えばゴキブリ相手に何やってんのよ…」
妻は溜息を吐く。僕はその姿に驚いた。
「き…君はゴキブリをスリッパで殺すことに抵抗はないのか!?」
「はぁ?ないに決まっているでしょう。スリッパでも雑誌でも新聞紙ででも何でも殺すわよ」
僕は今までこの世で一番恐ろしい生物はゴキブリだと思っていた。
しかし今、一番恐ろしい生物は妻だと理解した。
公開:19/10/18 18:16

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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