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深夜二時。センター街を歩いているのは僕だけだった。大丈夫、酔ってない。そう思った途端、僕は何かに躓いた。地面に倒れこむ直前、白い帯が飛んできて、フワリと僕を受けとめた。
「危ないなぁ」
僕を乗せて空に浮かびながら、帯は低い声で言った。
「一反木綿?」
「違う。私は横断歩道だ。行き先はスクランブルでいいか?」
「は、はい」
訳もわからず頷いた。スクランブルに出ると、帯はウネウネと波打って「ヘイヘイ!」とタクシーを呼び止め、僕を座席に放り投げた。
「全く世話が焼ける」
ドアが閉まる間際、横断歩道のボヤキが聞こえた。
気がつくと、家のベッドで朝を迎えていた。
夢なんかじゃない。だって頬にザラザラとした感触が残っていたんだから。あの横断歩道は深夜、渋谷の街をパトロールしているんだ。
嘘だと思うなら、深夜に渋谷スクランブル交差点のライブカメラを見てみるといいよ。
斜めの帯が一本足りないはずだから。
「危ないなぁ」
僕を乗せて空に浮かびながら、帯は低い声で言った。
「一反木綿?」
「違う。私は横断歩道だ。行き先はスクランブルでいいか?」
「は、はい」
訳もわからず頷いた。スクランブルに出ると、帯はウネウネと波打って「ヘイヘイ!」とタクシーを呼び止め、僕を座席に放り投げた。
「全く世話が焼ける」
ドアが閉まる間際、横断歩道のボヤキが聞こえた。
気がつくと、家のベッドで朝を迎えていた。
夢なんかじゃない。だって頬にザラザラとした感触が残っていたんだから。あの横断歩道は深夜、渋谷の街をパトロールしているんだ。
嘘だと思うなら、深夜に渋谷スクランブル交差点のライブカメラを見てみるといいよ。
斜めの帯が一本足りないはずだから。
ファンタジー
公開:19/10/18 08:12
更新:19/11/17 20:40
更新:19/11/17 20:40
月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。
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