短編小説が書けるようになるはんぺん

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相部屋の弟がうーん、うーんと唸っている。
「一体どうしたんだよ?」
「いやぁ、短編小説を書こうと思っているんだけれど、いいアイデアが浮かばなくて」
「なんだそんなことか」と僕はリュックからはんぺんを半切れ取り出すと、弟に渡した。
「ほれ、これやるよ。短編小説が書けるようになるはんぺん」
「短編小説が書けるようになるはんぺん?」
「そう。この前、町ですれ違った人に親切をしたら、短編小説が書けるようになるはんぺんをくれたんだ。僕は短編小説を書こうと思っていないから、あげるよ」
「ありがとう。千切れているようだけど、もう半分は?」
「ああ、試しに半分に切って片方食べたんだ」
「書こうと思っていないのに食べたの?」
「一応な、効き目あるかなと思って」
「で、実際どうなの?」

効果は抜群だ。
これだけのアイデアで400字書ききってしまえるなんて。
ただ、味がないのが難点だった。
SF
公開:19/10/18 00:24
SF はんぺん

冨田亮太( 東京・埼玉 )

雰囲気重視。

 

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