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「ねえ、兄さん。節目が来たよ」
「ああ、来たようだね、弟よ」
「ねえ、兄さん」
「何だい、弟よ」
「なんで節目は来るの」
「わからないよ」
「兄さんにも分からない事はあるの」
「ああ、勿論だとも。この世に鶏が先に生まれたのか、それとも卵が先に生まれたのか、そんな事を考えると夜も眠れなくなるよ」
「そうなんだ」
「他にも「誰にも言わないでよ」だとか「ここだけの話なんだけど」と言う内緒話は、言われた僕には彼らが僕にどうして欲しいのか、さっぱり分からないんだ。だってそうだろ。周囲にバレたくないなら本人が他言しなきゃ、絶対にバレないんだから」
「確かに」
「そのくせ、周囲に秘密が広まったら「俺の秘密ばらしたの、絶対にお前だろ」と濡れ衣を着せるんだ」
「酷いね」
「ああ、酷いものさ。だから、弟よ。節目の謎は知らない方が良い。もし、知ってしまったら後悔する事になるよ」
「うん、分かったよ。兄さん」
公開:19/10/16 23:28
更新:19/10/16 23:34

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