洋館の思い出 

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久々に故郷に帰った、カレンダー刑事。
幼馴染の悪友と街を散歩していると、ある洋館の前に出た。

「昔、ここにお前の恋人が住んでたね」
悪友は頷く。
「もう10年前に、彼女はここを出て行ったんだ。郷里の親の看病の為にね」

森に寄り添う、玄関先のモザイクタイルの装飾が見事な洋館だ。
「最近ここに又、人が住みはじめた」
「あの彼女?」
「いや家主は、誰にも会わない。近所づきあいも無い」
悪友は寂しく笑った。
「俺も、確かめに行く勇気は無いよ」

2日後。カレンダー刑事は悪友に電話した。
「あの洋館に戻ったのは、たぶん昔のお前の彼女だ」
悪友は驚いた。「何故わかる!?」
「モザイクタイルさ。この間は、新しくて一つも欠けてなかった。俺の記憶ではボロボロだった。で、街のタイル店で雑談して、修理の依頼主を聞いた」
依頼主は、彼も知る昔の彼女のようだった。

刑事は言った。
「今度、会いに行ってやれよ」
ミステリー・推理
公開:19/10/14 21:54
更新:19/10/15 21:07
カレンダー刑事

tamaonion( 千葉 )

雑貨関連の仕事をしています。こだわりの生活雑貨、インテリア小物やおもしろステーショナリー、和めるガラクタなどが好きです。

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