ふしめ月

7
23

新月から満月に向かって満ち欠けする月。実は、隠れた月の存在があって「ふしめ月」と呼ばれている。
ふしめ月が夜空に出たときは、なぜか視線が下に向く伏し目がちになり、その存在を目で確認できた者は皆無に等しい。
その理由は、燦然と輝く月光が眩しくて見られない、月の引力の影響で潮の満ち引きが起こるように涙が流れやすくなる関係で見られないなど諸説あるものの、どれも科学的根拠に乏しい。
ふしめ月は、世の中が大きく変わろうとする節目に現れるとされており、古代から畏敬の念を抱く崇拝の対象となっている。
最近、人類が月の土地を購入したり、月旅行に向かおうとしているが、この動きに合わせてふしめ月が出現しているという。これは過去に、アメリカがアポロ計画によって人類初の有人月面着陸に成功した際も起こった現象とされている。
もしかしたらふしめ月は、地球に対して月に近づかないよう警告を発しているのかもしれない。
SF
公開:19/10/14 13:58
節目 伏し目 月光 引力 潮の満ち引き 月旅行 アメリカ アポロ計画 有人月面着陸

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容