独りよがりのソナチネ

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空の色彩が深みを帯びて
わたしの記憶は色褪せる
「セピア色の思い出」なんて
色があるだけいいじゃない

駅のホームの喧騒は
わたしを懐かしい気持ちにさせる
それは虚構だと知っているけど
もう 私に居場所はないの

いつもママが励ましてくれた
笑顔で渡しの手を抱いて
それがわたしは嬉しかったけど
もう 顔も忘れちゃった

いつも遊んでた友達は
何人いたかは忘れちゃったな
とても楽しかったと思うんだけど
みんなの輪郭がぼやけて一つになって
もう 何も見えないや

いつからだろ
わたしが一人になったのは
家族も友達も
家も学校も
もう 全部消えちゃった


空は既に闇の中
煌々と光る掲示板
頬に伝った涙を拭って
点字ブロックへ向かっていった
その他
公開:19/10/15 19:31

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