道標

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散歩しようと家の近くの商店街を歩いていた。
その時一瞬閃光が走り周りの町並みが、山道の峠に一変し道標が現れた。
何が起きたか分からぬまま文字を読めば、右に行けば未来、左に行けば過去を示していた。
今どうして自分が此の様な岐路に立たされ、ましてや未来か過去を選ばなければならないとは異常な世界だと感じた。
過去を選べば亡くなっている肉親や親友にも会えるかも知れない、未来を選べば将来の自分を確認できたり、あるいはジャンボ宝くじの当選番号や重賞レースの勝ち馬を知ることが出来るかも知れない。
いや過去や未来に行くことよりも、今の自分の存在に戻ることが先決であるように思われた。
その時足を滑らせ転倒してしまい一瞬意識が遠のき、気が付いたらいつもの商店街に居た。
あの道標でいずれかの道を選べば、我が人生最大の節目になったかとも考えるが、足を滑らせてしまった事が結果最善の選択であったように思われる。
SF
公開:19/10/15 19:19
更新:19/10/16 08:51

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