しゅわしゅわ

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私は田舎の祖母の家に行く事を凄く楽しみにしている。目的は祖母お手製のレモネードだ。
しゅわしゅわとグラスの中を立ち昇る泡。きつめの炭酸にレモンの皮の苦み。それに甘さと酸っぱさが見事に交じり合った唯一無二のレモネード。
私はこの大人びた味が大好きで、これを飲むために祖母の家に行っていると言っても過言ではない。
でも母はいつも祖母のレモネードを飲むと苦い顔をする。美味しくない?
「ううん…やっぱりお婆ちゃんのレモネード、凄いなって思っただけ。お母さんじゃ、まだこの味は出せないわ」
確かに。母のレモネードも美味しいけど少し何かが足りない。
「そりゃそうよ。私だってこの味に辿り着くのに何年かかったと思っているの?あんたはまだ若すぎるわ」
そう言って、しわしわの手で母の頭を撫でる祖母。
「しわしわのレモネードは歳を取ってからじゃないと作れないわよ」
私も祖母みたいな素敵な女性になりたいと願っている。
公開:19/10/12 18:36

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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