卵とゴリラくん

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何にをしたのか全く覚えていない。
何故それがそこにあるのかさえ分からない。
目覚めると足元に大きな卵。
ダチョウくらいの大きさの卵。
昨日の食べ物を思い出す。お尻をさすってみたけど、痛さはない。自分が産んだのではないようだ。

卵を叩く。炭酸カルシウムの厚みを指に感じる。
持ってみる。ズッシリと重さを感じるが400kg持ち上げる俺には大したことはない。
匂いを嗅ぐ。無臭だ。

とにかく温めよう。
森の木々や草を集める。頭上の鳥の巣を参考に小枝を敷き詰め草を盛る。その上に卵を置いた。

卵の上に座ってみた。お尻に食い込む痛さにのけぞった。
卵の上に寝てみた。グリグリと背骨に当たるが悪くない。
卵を抱きしめた。温める目的が達成された気がする。

すっかり夜も更けた。月がとても綺麗だ。久しぶりの孤独じゃない夜。何かを大切にするって、気持ちが穏やかになるのだと生まれて初めて知った。
その他
公開:19/10/12 13:53

まりたま

いつか絵本を1冊出せたら...
そう思いながら書いてます。
少しだけホッコリしていただければ嬉しいです。
でも、たまにブラックも書きますけど。

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