弱竹31 (なよたけサーティワン)

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――はて。この密室に閉じ込められてから、どのくらい経つだろう。
窓もドアも無いので時間が掴めない。
そもそも何故ここに居るのかさえ、記憶が朧だ。かくれんぼをしていた気もするし、自ら迷い込んだ気もするし、何か悪いことをして閉じ込められた気もする。そう疑問に思い始めてからも……。  
――じきに迎えが来るだろう。
――誰かが見つけてくれるだろう。
――私にはそういう人が現れるだろう。
などと呑気に構えていたせいか、機を失してしまった。
――否。違う。
世間様がいう所の『旬』を過ぎてしまった頃、私は自らの意思で『自分磨き』という名の『婚活』を辞めたのだ。な~にが『貴女が輝く為に』だ。人間は発光しねぇよ。
もう、夢みるお姫様だなんて言わせない。キッと顔を上げて気が付いた。
――あ。ここ、開く。 
節を持ち上げ顔を出す。夜風が心地よい。
私を乗せた竹はどんどん伸びて、今や下界より月の方が近かった。
青春
公開:19/10/11 20:02
更新:19/10/17 02:11

椿あやか( 猫町。 )

【椿あやか】(旧PN:AYAKA) 
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◆第18回坊っちゃん文学賞大賞受賞
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【note】400字以上の作品や日常報告など
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