しゅわしゅわ

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気が付けば俺は銭湯で湯に浸かっていた。何故こんな所に?と考え始める頭は湯の気持ち良さに負けて霧散する。
暫くの間、一人銭湯を堪能していると爺さんが入ってきた。足元が覚束ない…大丈夫か?
俺は湯から上がると声をかけた。床が意外と滑りやすいから気をつけろよ。
爺さんは俺に礼を言って体を洗い始めた。まったく…桶をそんな重そうに持つんじゃない。怪我したらどうするんだ。
俺は爺さんの背中を流してやった。頭も洗ってやるとしゅわしゅわと二人して泡まみれになった。爺さんと大笑いした。
結局、俺は爺さんと湯を共にすることになった。この人といると祖父を思い出す。俺も爺さんに礼を言った。

風呂を出て脱衣室に入ると思い出した。そうだ。俺は交通事故で死んだんだ。
振り向くとそこに風呂場はなく、天国と書かれた入り口があった。
「裸の付き合いこそ、人の本質が分かる」
神様を名乗った爺さんに俺は試されていたようだ。
ファンタジー
公開:19/10/11 18:07

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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