しょくよくの秋

食欲の秋。秋は美味しいものに満ち溢れている。
俺にとって秋とは色欲の秋。字は違えど、読み方は同じだ。今日も獲物を探す。
おっ！丁度気の弱そうな女を発見！

「そこの君、ちょっといいですか？」

警察が俺に声をかけてきた。なんか用か？

「いやね、最近ここで痴漢が多発するって聞いてね。念のためにいくつか質問に答えてくれる？」

職質かよ…まあいい。俺がやったってバレているわけじゃない。
聞かれたのは無難に名前や職業といったもの。怪しまれる要素はない。

「では最後に。今日はどのような女性を狙っていますか？」

やっぱりそうはいかなかったか！こいつ、俺に目を付けていやがったな！
俺は脱兎のごとく逃げ出した。だが、あっさりと捕まった。
畜生！まさかマークされているとは思わなかった！

「マーク？何の事です？私はただ、職質したい欲の秋、つまり職欲の秋を楽しんでいただけですよ？」

こいつも同類か…