堀田辛子

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ホームセンターの野菜売り場。「堀田辛子」という新品種のカラシの札が目に入った。
これは地面に種を撒くだけであとは何もしなくていいらしい。勝手に伸びて、勝手に育ってくれるという。
これならズボラな私でも簡単に育てられそうだ。一つ買っていくとしよう。

家に帰り、妻に堀田辛子を見せた。
「あら?『ほったらかし』を買ってきたの?」
妻の言葉に首を傾げる。堀田辛子だろう?
妻は袋を指さした。よく見ると『辛』という字が逆さまになっている。ああ、だから『ほったらかし』か。

種を蒔いて一月経った。妻に呼ばれて庭を見ると庭中が堀田辛子で埋め尽くされていた。
「これ、貴方が責任をもって全部処分してね」
そう言われてもどうすればいい?ほったらかしで勝手に増える辛子だぞ?
「簡単よ。こまめに庭手入れをすれば枯れるわ」
妻の言う通りほったらかしを止めると辛子は枯れた。
そして、毎週末の草刈りが私の仕事となった。
公開:19/10/13 18:41

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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