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台風一過。「ほか弁屋」の丸椅子でのり弁を待っていて、背後の壁の隙間に小さな青い石を見つけた。何気なくそれをつまみ上げた時「のり弁当でお待ちのお客様」と声がかかったので、僕はそれをポケットに入れて持ち帰ってきた。
台風一過の空を飛行機雲が横切っているような滑らかな石で、真ん中に穴が開いている。
僕は弁当を食べ終えると「買取鑑定の店」に石を持ち込んだ。店員は石を丹念に調べて「よい物です」と言った。
「実家の箪笥の裏に落ちていた」と説明すると店員は「そうですか」と頷いた。
トルメキスタンだかタジキスタンだかいう珍しい石で、この状態なら2万円で買い取るが、本来はネックレスだったと考えられる。ネックレスの状態であれば200万円で買い取るので、もう一度ご実家を探したほうがよい。という。
以来私は、その「ほか弁屋」に通いつめ、先日そこの女性と結婚したのだが、彼女にはこの石のことを話していない。
台風一過の空を飛行機雲が横切っているような滑らかな石で、真ん中に穴が開いている。
僕は弁当を食べ終えると「買取鑑定の店」に石を持ち込んだ。店員は石を丹念に調べて「よい物です」と言った。
「実家の箪笥の裏に落ちていた」と説明すると店員は「そうですか」と頷いた。
トルメキスタンだかタジキスタンだかいう珍しい石で、この状態なら2万円で買い取るが、本来はネックレスだったと考えられる。ネックレスの状態であれば200万円で買い取るので、もう一度ご実家を探したほうがよい。という。
以来私は、その「ほか弁屋」に通いつめ、先日そこの女性と結婚したのだが、彼女にはこの石のことを話していない。
その他
公開:19/10/13 12:26
更新:19/10/13 12:30
更新:19/10/13 12:30
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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