晴天の霹靂

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10

父が亡くなって1ケ月。
大きくぽっかりと穴が開きっぱなし。10年間、父と二人で頑張ってきた野球も全く上手く行かない。
優作は、父とよくキャッチボールをした公園のベンチで一人うなだれていた。コロコロと優作の足元に野球のボールが転がる。ボールを手に取り、辺りを見渡すが誰もいない。転がってきた汚れたボールを見つめる優作。
ボールには「4年 まつもとゆうさく」と書いてあった。名前を書いた記憶が蘇る。初めて買ってもらった野球のボールだった。
「懐かしい、でも何故ここに?」
仰ぐように青空を見る。空にはキャッチャーミットのような形の雲が浮かぶ。優作はボールをその雲に向かって思いっきり投げた。
ドドーン!
晴天に突然、雷が鳴り響く。一筋の涙が頬を伝う。雷音にビックリしたのではない。優作の耳には雷音ではなく「ストライーク!」と言う父の声が確かに聞こえたから。
心地よい風を感じると身体から力が湧いてきた。
その他
公開:19/10/10 20:18

まりたま

いつか絵本を1冊出せたら...
そう思いながら書いてます。
少しだけホッコリしていただければ嬉しいです。
でも、たまにブラックも書きますけど。

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