借り
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男に貢いだダメな女を沈めに来たら、中学時代の同級生だった。
背伸びして遊んで、早く大人になろうと足掻いてた子だ。
十年前、卒業式の日だった。
呼び出された二人きりの教室。
「返して」と彼女は手を突きだした。
「何を?」
「あんたにパン代貸したやん。500円」
そういえばと思ってポケットを漁ったが、出てきたのは300円。
「しゃあないな。ほな学ラン貸して」
学ランを渡すと、彼女は器用に第二ボタンを外し「借金のカタに貰ってく」と笑うと、そのまま走って行ってしまった。
それきりだった。
「あんな男に引っ掛かって、アホか」
彼女が俺を睨む。
「あれ、まだ持ってるか?」
彼女のバッグから、色褪せたリボンが結ばれた学ランのボタンが出てきた。
「パン代、利子つけて返済や。これは返して貰うで」
「……アホはあんたや」
泣き出した彼女の顔は、十年前より幼く見えた。
背伸びして遊んで、早く大人になろうと足掻いてた子だ。
十年前、卒業式の日だった。
呼び出された二人きりの教室。
「返して」と彼女は手を突きだした。
「何を?」
「あんたにパン代貸したやん。500円」
そういえばと思ってポケットを漁ったが、出てきたのは300円。
「しゃあないな。ほな学ラン貸して」
学ランを渡すと、彼女は器用に第二ボタンを外し「借金のカタに貰ってく」と笑うと、そのまま走って行ってしまった。
それきりだった。
「あんな男に引っ掛かって、アホか」
彼女が俺を睨む。
「あれ、まだ持ってるか?」
彼女のバッグから、色褪せたリボンが結ばれた学ランのボタンが出てきた。
「パン代、利子つけて返済や。これは返して貰うで」
「……アホはあんたや」
泣き出した彼女の顔は、十年前より幼く見えた。
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公開:19/10/10 13:55
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