『郵便ポスト』　H&D

今日も俺は、ハーレーでタフに街を駆ける。
ここだ。この交差点に奴がいる。
鉄馬の鼓動を感じ、葉巻で一服。グラス越しにヤツを見る。
よう、調子はどうだい。
赤いそいつは今日も無言で突っ立っている。
フッ、ホットななりの割にいつもクールだな。なら、今日の稼ぎを見せてもらおう。
バイクから降り、そいつの懐を探る。
オーケーベイビー。大量だ。相変わらず良い仕事だ。
俺はまた頼むぜ、と言って稼ぎをバッグに突っ込んだ。

走り去った彼を街の人々が変な目で見ていた。
おい、なんか変なヤツが郵便ポストから郵便物を持って行っちまったぞ！
しかし、知っている人は知っている。
彼は郵便配達のポストに就いたはいいが、毎日の決まった道の往復にうんざりして、ハードボイルドを気取って気を紛らわせている歴とした郵便局員だと。
オーケーベイビー。次は三丁目の赤い奴の所にぶっ飛ぶぜぇッ！
今はもう、かなりノリノリである。