親父の出囃子

4
10

えー、襲名披露三席目でございます。
不思議なものですな。二席目の「百年目」、親父そっくりだったでしょ。あれ、やったの私じゃないんです。親父の十八番ですから、裏で気を利かせたんでしょうな。出囃子が私じゃなく親父の曲だったでしょ?
ドッキリって言うんですか。出番前の落語家に仕掛けるって、何考えてるんでしょうね?
一瞬で頭の中、真っ白です。でも体は勝手に動くんですな。で、落語を始める。それを私は正面で見てる。で、途中で気がつく。これは私じゃない。親父だ。子守歌みたいにガキの頃から聞いてますからね。声も所作も目線も表情も全部親父でしたよ。あの出囃子の音色をきっかけに、親父が降りてきたんでしょうな。久し振りに稽古をつけてもらいました。まだまだ親父には及ばないと思い知らされました。
そんな親父から最初に教わった噺は何かってぇと、えぇ、毎度ばかばかしいお笑いをおつきあい願います。落語と申しますものは…。
その他
公開:19/10/09 10:18
更新:19/12/05 00:40

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容