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親元を離れ、一人暮らしを始めて2週間。電話で母に「寂しくない?」と言われて泣きそうになった。
大学の先輩にそんな事を話していると、「いいものを知ってるわ」と、とある楽器屋に連れていかれた。店の中に見た事もない不思議な楽器が並んでいる。ポップに書かれた説明も意味不明だった。
鈴虫、野球中継、火の用心、チンチン電車…?
「ふるさと楽器って言ってね。懐かしい音色を出すことが出来るの」
先輩が店員に何か話しかけると、店員が頷いた。
「では、試しに聞いてみますか?」
店員が鈴虫を手に取り口に咥えると、店内に澄みきった心地よい鳴き声が響き渡った。
一瞬で田舎の情景が蘇った。
それから店員は次々に楽器を持ち替えて演奏した。そのどれもが実家で聞いていた音色だった。
「おひとついかがですか?」
「これ下さい」
私が手にしたのは、台所で料理を作る音。
それは母を身近に感じられる、温かくて優しい音色をしていた。
大学の先輩にそんな事を話していると、「いいものを知ってるわ」と、とある楽器屋に連れていかれた。店の中に見た事もない不思議な楽器が並んでいる。ポップに書かれた説明も意味不明だった。
鈴虫、野球中継、火の用心、チンチン電車…?
「ふるさと楽器って言ってね。懐かしい音色を出すことが出来るの」
先輩が店員に何か話しかけると、店員が頷いた。
「では、試しに聞いてみますか?」
店員が鈴虫を手に取り口に咥えると、店内に澄みきった心地よい鳴き声が響き渡った。
一瞬で田舎の情景が蘇った。
それから店員は次々に楽器を持ち替えて演奏した。そのどれもが実家で聞いていた音色だった。
「おひとついかがですか?」
「これ下さい」
私が手にしたのは、台所で料理を作る音。
それは母を身近に感じられる、温かくて優しい音色をしていた。
ファンタジー
公開:19/10/09 22:53
月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。
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