取引

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「頼むぞ。これが前金だ」
「ああ、死体は出ないようにするよ」
ゴトン!
「誰だっ!?」
「にゃ、にゃお〜」
「なんだ猫か」
「こんな所に…?どうも怪しいな。見てくるよ」
殺し屋が銃を構えて廊下へ出ると、倒れた消火器の横で男が腰を抜かしていた。引きつったその顔は先程写真で見たばかり。男はまさしく標的だった。
殺し屋はちょっと考えてから男に銃を突きつけた。
「なあ、私は今、殺しの依頼を受けたんだ。当初の計画だと、スズキは来週までに行方不明になる予定だったんだけど…今夜からでもさして変わらないと思う」
男は目を見開いている。
「ところで、私は仕事柄孤独でね。つまらないから、犬か猫でも飼おうかな、と思ってたんだ」
消音器付きの銃口が男の額を捉えた。
「あんた、猫だよね?」
「…みゃあ」
殺し屋はニヤリと笑って猫の脚を撃ち、依頼人に叫んだ。
「野良猫だ!怪我してるみたいだから連れて帰るよ!」
その他
公開:19/07/01 23:27

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