雨の独り言

朝、窓から外を見て憂鬱な気分になった。
空は晴れ上がっている。なのに雨が降っていた。
天気雨だ。別の言い方をすれば狐雨。
昔の人はこのような現象を狐に化かされているんじゃないかと思い、そう名付けたようだ。
しかし、私の住む地方ではまた呼び名が違う。
私は幼い頃からこの天気雨のことを「狐の嫁入り」と教えられていた。狐の祝言とも言うらしい。
腹立たしい…何が腹立たしいって、私は昨日、会社の同僚の結婚式に出席していた。
『貴方にも早く良い人が見つかるといいわね』
同僚の勝ち誇った顔が脳裏に焼き付き、その日はやけ酒をした。
そして、先程目を覚ました時、二日酔いによる頭痛と共に財布から、さらに５万円消えていることに気付いた。
「二日続けてご祝儀か…」
私の独り言は青空に吸い込まれた。私の心ももやもやとし、今にも雨が降りそうだ。
「見てろよ！今年中にカッコいい彼氏作って、来年には結婚してやるからな！」