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中性子星に腰掛けて、水素売りは一休みする。まさか水素は飲めないので、水筒を取り出して水をごくりと飲んだ。

「あら水素売りさん。お休みですか」
「おや菓子売りさん。丁度良かった」

菓子売りが中性子星に船を横付けして言った。

「今日はコココ・ナッツとシトロン塩がおすすめですよ」
「そうだなぁ、汗もかいたしシトロン塩をもらうよ」

瓶詰めの塩は薄黄金の美しい星型。口に含めば、サラリと溶けてさっぱりとしたフルーティな塩味。

「これこれ。病み付きになるんだよなぁ」
「ふふ、わかります。止まらなくなりますね」
「あ、そうだ、お代を」

取り出したのは星型の鉄隕石のネックレス。

「鉄隕石はよく見ますけど、これは綺麗ですね」
「そうでしょう。でも菓子売りさんの方が似合うから」
「ふふ、ありがとうございます。では」

ネックレスを身に着けながら、菓子売りが笑って言う。

「星が、綺麗ですねぇ」
ファンタジー
公開:19/07/01 14:23
更新:19/07/01 14:25
宇宙図書館分室資料

ささらい りく

簓井 陸(ささらい りく)

気まぐれに文字を書いています。
ファンタジックな文章が好き。

400字の世界を旅したい、そういう人間の形をしたなにかです。

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