猫まんま食堂

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この近くに不思議な飲食店ができたという。
なんでも出てくるのは「猫まんま」だけ。
猫まんまなど、実にいつ以来だろうか。男も興味本位で覗いてみることにした。

店はとても繁盛していた。行列は長いが回転が速いので苦ではない。それに列に並ぶにしたって、店内から漂う鰹節の香りが高い。否応なしに期待が高まった。

「お待たせしました」
 出てきたのはたっぷりの鰹節が乗った猫まんまだった。卵も乗っていないシンプルな猫まんまに醤油をひと回しするとうまい。男はあっという間に平らげた。

翌日、彼がまた店に足を運ぶと、昨日と違い、ご飯に味噌汁をかけたものが出てきた。
「これは何だ」
「猫まんまですが」
「昨日と違うぞ」
「猫まんまにも2種類ございまして。今は日替わりで出していますが、売り上げによってそのうち一つに絞るつもりです」

2種の猫まんま。自分はとんだ猫の縄張り争いに巻き込まれたようだった。
ファンタジー
公開:19/07/02 13:18

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