カオス理論

　バタフライエフェクトによる初の犠牲者が出たのは、１８３７年カナダのトロントだった。
　これは王党派による植民地支配を受け入れられない集団による武装蜂起の失敗によるものだが、そもそも、この年には大塩平八郎の乱が起きており、モールスが電信の特許の申請をしているのである。
　加えて、１８３５年にはドイツに鉄道が開通し、ハレー彗星の接近があったことも見逃せない事実であるが、その百年前に地球が扁平型につぶれているとの測量結果が学会で発表された件と、その二百年後の、浜松市の高校で起きた大福餅食中毒事件との間に抜き差しならぬ関係があったことは、真摯に受けとめるべきであった。
　無論、このような複雑な数式を用いて指摘したところで、一般への認知度はゼロに等しいのだが、我々のこうした営みが、天気予報の洗濯指数の精度向上に役立っているということは、忘れないでいただきたい。
　ということは、忘れていただきたい。