ブルーベリーの星

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 籠に山盛りのブルーベリーが甘酸っぱい夏の匂いを放っている。一粒つまむと、張りのある実は大きく丸く、薄く粉を吹く向こうは海とも空とも違う深い青色。不思議なことに、青の奥に金砂銀砂を撒いたような光が見える。
 僕は周りに人がいないのを確かめてから、こっそり一粒口に入れた。
「こら!」
 いつの間に来たのか、母が後ろに立っていた。
「あれ程ダメだって言っておいたのに、つまみ食いしたわね」
「ごめんなさい。一粒だけだよ」
「あのね。これは特別に瑠璃の粉を与えて育てた星空のブルーベリー。ただでさえブルーベリーは目に良いでしょう? だから、これを食べると……」
 母は溜息をつきながら、僕に手鏡を渡した。
「あっ!」
 僕の瞳は宇宙を思わせる濃いブルーになっていた。
 それだけではない。
 日曜朝にやっているアニメのヒロインに負けないくらい大きく、星がキラッキラ☆の目になっていた。
  
 
 
ファンタジー
公開:19/07/02 00:58

堀真潮

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