ワンクッション

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 地球の全ての男性がいなくなり、全ての女性が妊娠してから、十か月が経過した。
 やがて、全女性が赤ちゃんを産んだ。生まれたのはみんな、タナベイチロウだったということが後に判明する。これにより地球人類は、女性とタナベイチロウとの二種類となったのだ。
 タナベイチロウは、遺伝子にも肉体にも性の特徴を示すものを何一つ持たなかったが、外見は一般的な人間の赤ちゃんで、育て方も従来通りの方法で問題はなかった。
 「タナベイチロウだよ」
 二歳になると、世界中のタナベイチロウがそう名乗った。そして五歳になると背中に瘤が出来て、七歳になると瘤がタナベイチロウとして分裂した。タナベイチロウは瘤によってどんどん増えた。
 人類のほとんどがタナベイチロウとなった80年後、タナベイチロウ七人が融合すると男に、三人が融合すると女に変化した。
 それらは恋愛をし、性交をして妊娠すると、一般的な人間の赤ちゃんを産んだ。
SF
公開:19/06/30 13:11
更新:19/07/04 19:46
書き出しだけ大賞 二期

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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