四九三兆の男

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街角にサングラスとマスクで顔を隠した長髪の男が突っ立ていた。その怪しげなオーラに、ひとりの警官が近付く。
「少しお時間よろしいですか?」
「「「何でしょう?」」」
男の声が三重に響き、警官が左右を見る。
「「「お巡りさん?」」」
「失礼。素顔を見せてもらえますか?」
「「「はい」」」
男が素直にサングラスとマスクを取った。その素顔を見た警官が思わず後ずさる。
「「「どうしました?」」」
そう言った男の顔は目が四つ、鼻が九つ、口が三つもあった。
目は通常の位置と、本来ならば眉毛のある部分に。鼻は通常の位置に、まるでブドウの房のように。口は通常の位置と、両頬にひとつずつ。
「「「視覚、嗅覚、味覚、全て良好です。ただ……」」」
男が長髪をかき上げる。そこには米粒くらいの大きさで、もはや数える事ができないほどの耳が寄り集まっていた。
「「「聴覚だけは大きさと数のせいか、イマイチなんですよねぇ」」」
ホラー
公開:19/07/01 13:45
更新:19/07/07 16:36

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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