虹色の雨

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周りの友人によると、僕は感情をなくしたロボットのようだと言われているらしい。両親が交通事故で亡くなってからだ。そんな僕にある友人が、虹色の雨が見られる丘を紹介してくれた。美しいものを見れば、少しは変わるだろうと。そして僕は今その丘に立っている。見上げると満点の星空。雨が降るとはとても思えない。と思ったその瞬間、目の前に光る青色の雨粒が落ちてきた。それが合図だったかのように、赤、黄、緑の滴が勢いよく落ちてくる。まるで無数のLEDライトが降っているようだ。その光景をぼうっと見ていると、右ポケットにあるスマホがバイブレーションしているのに気付く。取り出すと、丘を紹介してくれた友人からの電話だった。
 「もしもし。俺だけど。例の雨見れた?」
 「うん、たった今見ているよ。心が洗われるようだ。」
ファンタジー
公開:19/06/30 20:56
更新:19/07/01 16:05

田坂惇一

ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
悪口でもちょっとした感想でも、コメントいただけると嬉しいです。

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