ぼくの好きなカネコさん

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 カネコさんは、猫みたいな人だ。
 キリッとつりあがった目、スラッとした手足、ちょっと丸まった背中。好奇心旺盛で、気まぐれで、けれどそれがとてつもなく可愛い。
 猫好きのぼくは、たちまち恋に落ちた。
 
 意を決して、ぼくはカネコさんに、想いを打ち明けることにした。

 カネコさんはいつも、駅の方からやってくる。ぼくの店の前を通るので、毎日あいさつしてくれるのだ。
 今日も店の前で待ち構える。プレゼントに、花を一輪。準備は万端だ。
 
 来た! カネコさんだ!
 ぼくは勇気を振り絞って、カネコさんに気持ちをぶつけた。

 好きです! 結婚してください!

 ぼくが花を差し出すと、カネコさんは、目をまん丸くして驚いていた。
「これ私に? ありがとう」
 カネコさんは、ぼくの花を受け取って、にこっと笑う。
 そして、ぼくの頭をやさしくなでた。

「あなたが猫じゃなくて、人間だったらなあ」
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公開:19/06/30 19:08
更新:19/07/06 16:08

やぎ太郎( 牧場 )

紙ではなく文字を食べて吐き出すヤギです。

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