ニンゲンとネコ。

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目が覚めると、ヤツはおれの隣で丸まって、幸せそうな夢の中だった。起こさないようにそっとベッドから降りる。
昨夜も夜が遅かった。朝日が目に眩しい。顔を洗い、水を飲んで、朝飯は昨夜の残りで軽く済ませた。身支度を終え、出掛ける段になっても、ヤツは起きてこない。
まったく、こっちは休日なんてあってないようなモンなのに。コイツときたらいい気なもんだ。安らかな寝顔に、おれはちょっと意地悪をしてやりたくなる。
ベッドの端に腰掛け、そのふくふくした頬をつつくと、案外柔らかい。鼻先がひくん、と動く。ふすー、と細い息がおれの手にかかってくすぐったい。ぼんやりと薄目が開いて、すぐにまた閉じた。
ちぇっ。都合のいい時だけ甘えてくる癖に。おれを見送ろうって気はないのかい。
玄関からの出発は諦めた。キッチンの網戸をこじ開ける。後で文句を言うなよな。
「めぁーう」
挨拶をして外に出た。さてさて、今日も見廻りの時間だぞ。
その他
公開:19/06/29 01:00
更新:19/06/29 01:05

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