猫又記念日

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しっぽが二股に分かれてきたから、今日は猫又記念日。ハルは妖怪の仲間入りをしました。
「今日はまたたびを焚こうね」
姐さんが尻尾をフリフリ、宴会の用意をしてくれますが、ハルは気乗りではありません。ハルは、別に猫のままで良かったのです。
「猫又になったら、何が変わるの?」
「ハルはハルのままだよ」
そう言われても、不安は消えません。仔猫の頃は、何者でもありませんでした。大人になっても、飼い主に甘えて育ちました。
ハルは自由でした。風にだって草にだって、なんにでもなれました。
それが、突然夢から締め出されたような、謎の衝撃に打ちのめされていたのです。
「贅沢な悩みだね。ノラの私にゃ分からない」
姐さんがまたたびを吹かします。
「成長すると失うものがある。でも失うったって、それは与えられたものさ。これからは自分で生きなきゃね。それが本当の自由さ」
ハルには姐さんの言葉が、まだ分かりませんでした。
青春
公開:19/06/29 00:02
猫又思春期

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
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『枇杷の独り言』
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写真は全て自前でやっています(笑)

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