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カレンダーをめくると、もう夏が来ていた。
日差しが強くなっているはずである。
一日中部屋に籠り切りであれこれ夢想に浸っていると、季節の変わり目を見逃しがちだ。
すっかり暑くなってしまったが、まだ朝は涼しい。
早起きをして外へ出ると、包むような優しい風が私の頬を撫でる。
まだ蝉は鳴いていない。
そんなことを気にしていると、いつの間にか汗が滲んでいる。
こんな時は早めに家に戻るのも、この季節の醍醐味だ。
冷やした飲み物を一気に流し込むと、去年の夏にしまい忘れた風鈴が、元気よく鳴る。
八時でも照り付けている太陽を家の中から眺めるのは、ある種の罪悪感を覚えるが、怠惰な私に太陽もそこまで求めてはいないだろう。
早起きをして、外に出て、冷たいものを飲むと、どうも横になりたくてたまらない。
ぐっすりと寝たいわけではない。
夏に身を預けるように、横になりたいだけである。
公開:19/06/26 16:19

ふじのん

歓びは朝とともにやってくる。

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