路地裏の猫

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泥棒!誰か捕まえて!
毎度の悲鳴を背に素早い少年は路地裏へ駆け込む。捕まるかバーカ、ぼーっとしてる方が悪い。
貧民街の廃ビルが住処。息切らし、盗った皮箱鞄を開ける。金目の物を期待して。もう空腹で死にそうだった。
が…中には一匹の猫だけ。
チッ、ハズレ。腹がグーと泣く。
猫と目が合う。 別に食わねーよ…お前は自由だ好きな所に行け。
猫は汚壁をきょろきょろと見回し、ウロウロしてから出て行った。

ふて寝していた少年が目を覚ますと、先の猫がいた。どこから盗ってきたのかパンを咥えていて、ポイと投げ置く。
くれるのか?
飛びついてがつがつと貪り食った。

それから猫は居座って毎日食い物を盗ってくる。

ある日ヘマをして捕まり、禁固刑になった。半年振りに住処に戻るとあの猫がまだいた。まだ少年を覚えているようで、ニャアと鳴声を初めて聞く。
お帰り、と聞こえた。
そういえば
…名前、まだ付けてなかったな…
ファンタジー
公開:19/06/26 14:14
更新:19/07/09 03:18

Kato( 愛知県 )

ヘルシェイク矢野のことを考えてたりします
でも生粋の秦佐和子さん推しです

名作絵画ショートショートコンテスト
「探し物は北オーストリアのどこかに…」入選

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「チェアー効果」入選

ありがとうございます

 

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