舌長族の私

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我が家は全員、驚異的な舌の持ち主である。祖先は舌長族の末裔であると祖父から聞いている。さらにさかのぼるとカメレオンだという説もある。なのか小さな虫を見ると、本能的に、いや、反射的に長い舌をピュルルと出してしまう。私は、うら若き女子なのに……ああ、なんという運命。私は学校で、それを隠し続けている。会話が長くなると舌が伸びてくるのだ。だからクラスでは喋らない「無口な子」で、理解されている。

そんな時、クラス全員が読書感想文を発表しなければならなくなった。

私の番が回ってきた。
私は考えた。文節ごとに、間をとって、舌が伸びないように読むのだ。
読み終わると、クラス全員が、大拍手、喝采を浴びることになった。抑揚が素晴らしい!と絶賛。
それ以来、私は、クラスの確たる存在「朗読女子」と呼ばれ、読書感想文発表の際は、クラス全員のものを私が朗読することになってしまった。
ああ、舌を巻いて逃げ出したい。
青春
公開:19/06/27 18:20
スクー 舌が伸びる感想文

豊丸晃生( 大阪 )

ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。お笑い好きで怪談も好き。
お笑いネタのような作品が多いですね(笑)
【受賞作品】
「渋谷シティ」
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞受賞。
「我が家の食卓」
ベルモニーショートショートコンテスト入賞。
「電車家族」
隕石家族ショートショートコンテスト入賞。
「大男の力自慢大会」
「スカイフィッシング」
空想競技2020ショートショートコンテストW入賞。

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